6) 問題集と解答例

   6-5.解答例       
      【答01~40】

      

解答例です。これ以外にも異なる答えはたくさんあると思います。
お気づきの部分について、ご指摘いただければ幸いです。




問題 01.下記①~④の量産工法はどのようなものでしょうか(概略の工法)
解答 01.
①射出成形=
   熱可塑性樹脂を加熱すると軟化する性質を利用して、加熱軟化した樹脂を
   金型に圧力を加えて注入し冷却する方法。

②ダイキャスト=
   溶解した金属を金型に注いだのち高い圧力で加圧して、すばやく金型
   に押し込んで鋳物をつくる方法。

③MIM(メタルインジェクションモールド)=
   金属の微粉末とバインダーの混合物を金型で射出成形し、
   取り出した成形品を真空炉で脱脂と高温焼結をおこない、金属製品をつくりだす方法。

④ロストワックス=
   ロウ(ワックス)用の型を作り、所定の形状をロウで作る。
   そのロウをコーティングしロウを溶出する。
   コーティングを焼成し金属を流しコーティングを粉砕して所定の形状をつくる方法。



問題 02.上記①~④の工法とプレス工法との比較をして下さい
解答 02.
 プレス工法の利点=生産性が高い。軽薄短小に対する対応力がある。

 プレス工法の欠点=任意の複雑形状が得難い。部品点数が増加する。設備が高価。    



問題 03.次の①~③のプレス機械の特徴と使用目的を述べて下さい。
解答 03.
①C形フレームプレス機=
  横から見るとフレームがC字形。作業がし易く単発作業に向いている。
  フレームの形から口開き現象が発生するので精度を要する製品加工には向かない。

②ストレートサイドプレス機=
  フレームを4本柱で支えているため口開きがなく精度を要する製品加工に向いている。
  柱が邪魔となり作業性が悪いので順送やトランスファのような自動加工に向いている。

③ポストガイドプレス機=
  フレームをガイドポストにてガイドされているため精度が高い。
  一般的に高速自動プレスがこの形式。下死点精度も高い。
  一般的にスラスト力に弱い。剛性が弱いので厚板加工には向かない。



問題 04.シングルクランクプレス機とダブルクランクプレス機の使用目的の違いは何でしょうか。
解答 04.
シングルクランクプレスは偏心荷重に弱い為偏心荷重の少ない単発に主に用いられ、
順送のように偏心荷重が大きい作業にはダブルクランクプレスを使用する。



問題 05.加工する製品(金型)によりプレス機の選定基準が変わります。
       どのような基準に従ったらよいでしょうか。
解答 05.
①加圧能力
  プレス機の耐用年数を確保するために、計算上の使用圧力の1.5倍以上の能力を保有する
  プレス機を選定することが好ましい。

②プレス機の種類
  加工する製品精度によりラフな製品はCフレーム機、高精度を要求される製品を加工する場合
  はポストガイド機を選定する。

③ストローク長さ
  曲げや絞りで最大高さの約3倍以上のストロークを保有するプレス機を選定する。



問題 06.プレス加工における下記の意味は?
解答 06.
①せん断加工とは=
  他のプレス加工は材料の弾性限を越え破壊限以下の外力で加工を行うが、せん断加工は
  破壊限以上 の外力を加えて行う。

②曲げ加工とは=
  材料の中立軸の片側に引張り力、対する片側に圧縮力が作用する加工。



問題 07.プレス加工の種類として次の①~④の特徴または加工方法の選定基準は何でしょうか。
解答 07.
①単発加工  
  プレス機に作業者がつき製品の出し入れ及び機械の起動をその都度作業者が行う。
  他品種少量生産向き。

②順送加工
  金型内で材料を順次送り製品を加工し最終ステージで完成品として切り離す。
  材料歩留まりは悪いが生産性は最も良い。大量生産向き。

③ロボットライン
  数台のプレス機に単発形式の金型をセットしロボットによ り順次送り完成させる。
  生産性は若干劣るが材料歩留まりは良く、金型費は順送型より安価。
  順送でキャリアが取れない形状に向いている。

④トランスファ
  1台のプレス機または数台のプレスに数型セットし製品をフィードバーにより順次送り製品を完成させる。
  ロボットラインより生産性や送り安定性は良いがフィンガー等の付帯設備が高価になる。



問題 08.抜き切断面の4層構造を説明して下さい。
解答 08.
ダレ     =滑らかなR形状
せん断面  =光沢があり縦筋がある
破断面    =材料をむしりとった感じ
カエリ(バリ) =ギザギザがあり触ると痛い



問題 09.抜きにおけるクリアランスは、なぜ必要なのでしょうか?(理由を理論的に)
解答 09.
抜きの過程において材料にパンチ側から入るクラックとダイ側から入るクラックが
一致させるためにある程度の角度が必要となる。その角度を得るためにクリアランス(隙間)が必要となる。



問題 10.抜きクリアランスが過小な場合と過大な場合では、どのような現象になるでしょうか。
解答 10.
①過小= クリアランスが少ないときパンチとダイ刃先より発生する クラックが一致せず、
      2次せん断面が発生する。プレス機精度により金型が破損し易い。(カジリ)
      パンチとダイ刃先のチッピングが起き易い。抜き圧力は多くなるが抜きゾリは
      少なくなる。ヒゲ状のバリが発生する。

②過大= クリアランスが大きいとダレとバリが大きくなり製品精度が不安定となる。
      抜き圧力は少ないが抜きゾリは大きくなる。
      パンチとダイの刃側面が摩耗するとこの状態になることが多い。



問題 11.φ10の外径抜き型とφ10の穴抜きの場合でパンチとダイの寸法を計算して下さい。
       ただし、材質:SUS430  板厚:1 とする
解答 11.
①外径抜きの  パンチ=φ9.9   ダイ=φ10
②穴抜きの    パンチ=φ10    ダイ=φ10.1



問題 12.市販標準パンチの公差が+0.01~0となっている理由は?
解答 12.
抜きが完了し材料からパンチが抜けたとき、材料の弾性により極僅か穴が小さくなる。
そのためにパンチは僅か大きめに作ることが好ましい。
また、摩耗によりパンチがマイナスすることもある。



問題 13.外径抜きのダイの公差を設定して下さい。
解答 13.
+0~-0.01



問題 14.抜きバリの発生原理を説明して下さい。
解答 14.
抜きの過程において、パンチ側クラックとダイ側クラックがつながるため
パンチダイに適正な隙間が必要になる。
このクリアランスにより バリ が発生する。



問題 15.外径φ100 穴径φ50の所用抜き圧力を算出して下さい。
      ただし、材質:SPC(剪断抵抗値35で計算) 板厚=1とする。
解答 15.
外径抜き圧力=φ100×π×1.0×35=11ton
穴抜圧力=φ50×π×1.0×35=5.5ton 計16.5ton



問題 16.上記計算結果からプレス機を選定して下さい。
解答 16.
35tonプレス 注)弊社のプレス機は35tonが最小なため。
           従って、選定は各社の設備事情が反映されます。



問題 17.曲げの概念として下記について説明して下さい。
解答 17.
①中立軸より内側は= 圧縮
②中立軸より外側は= 引っ張り



問題 18.外径φ100、長さ100の丸棒に、板厚1mmのステンレスを巻き付けたい。
       そのブランクの寸法を算出して下さい。
       ただし、合わせ目(継ぎ目)の隙間は考慮しないものとします。
解答 18.
中立線移動量を板厚の47%として計算。
(1.0×0.47×2+100)×π=317.11



問題 19.U曲げ(絞り曲げ)の場合のダイRについて次の①~③を考えてください。
解答 19.
①通常のダイRはどの程度にしますか=
  板厚の3倍R

②ダイRを大きく出来ない場合とは=
  曲げの高さが板厚の3.5倍以下の場合

③ダイRを小さくした場合に発生する現象は=
  
焼き付きが発生し易く、発生した場合は曲げ側面にキズ(雨ふり)が発生する。
  曲げ側面にダイRの打撃状の痕跡となる。



問題 20.V曲げ(ヤゲン曲げ)の利点と欠点は何でしょうか。
解答 20.
利点=金型費が安価。
欠点=曲げ位置や曲げ高さの精度が不安定。



問題 21.スプリングバックの発生原理とストライキングの効果について説明してください。
解答 21.
①スプリングバック= 
 曲げる過程において中立線より内側に圧縮、外側に引っ張り応力
 が発生し、曲げる力が除かれた後(加工後)に弾性の残留応力から戻る力が発生する。

②ストライキング= 
 曲げパンチの曲げ部に突起状のものを設置し戻る力を破壊することを主な目的とする。
 また、ストライキングによって潰れた材料肉が曲げ外R側に移動し直角度を得ることが出来る。



問題 22.接近するA穴とB穴(間隔は板厚程度)があった場合に、
       A穴をシビア(精度の厳しい穴)
       B穴をラフ(大まかな寸法でよい)として、次の問を考えてください。
解答 22.
①どちらの穴を先に抜くか= B穴

②先に抜いた穴はどうなるか= 抜く際に材料がスラスト方向に逃げるため小さくなる。



問題 23.抜きゾリの発生原理と方向を説明してください。
解答 23.
抜きの過程において、クリアランスにより被加工材を曲げる方向に変化させる。
抜いて落とされるものは凹 
ダイの上に残るものは凸



題 24.板厚が0.6として、曲げ高さが内側から0.8の曲げ形状がある。
       次の問に答えてください。
解答 24.
①ダイのRの大きさは=
 R0.2

②そのRにした理由は=
 曲げ展開の伸びを0.3とした場合、曲げダイのRに
 ブランクが掛からずにストレートを0.1みた場合R0.2となる。



問題 25.低い曲げの断面形状はどうなるでしょうか。簡単な図で説明してください。
解答 25.
曲げの外側は直角だが、内側は開く形状。結果として先端は細くなる。
先端は外側が低く内側が高くなる。







問題 26.曲げ側面が膨らみます。その発生原理はどのようなものでしょうか。
解答 26.
曲げ中立線より内側に圧縮応力が働き、その圧縮された材料肉が側面に出っ張る。



問題 27.曲げの近くに穴があった場合で、穴を先に加工ました。どのような現象が起きるでしょうか。
解答 27.
①現象=穴が曲げにより引っ張られ大きくなる。

②その理由=曲げる過程において、曲げダイ側面に摩擦しながら加工する。
        その摩擦ににより、材料平面が引張られる。



問題 28.曲げゾリの発生原理とソリ方向を説明して下さい。
解答 28.
曲げる過程において、曲げパンチとダイのクリアランスから被加工材に曲げモーメントが発生し、
それが曲げゾリとなる。
曲げの中立線から外側が引張り内側が圧縮で曲げ加工後弾性により戻る力が発生し、
曲げ直角度とともに平面のソリとしても発生する。



題 29.順送レイアウトを組む上で単発工程と比較して考慮すべき点を3つあげてください。
解答 29.
① 量産品質安定性
② 設計変更対応
③ 金型強度
    他に 生産性



問題 30.材料が金型へ送られるまでの一般的な順送プレスラインを構成する機械設備を列記してください。
解答 30.
アンコイラ → レベラー → フィダー → プレス機



問題 31.順送レイアウトにおいて、製品をどの方向へ送るかを決める上で
       考慮すべき点をあげて下さい。
解答 31.
・材料歩留りのよい配置を選択する。

・基本的には送り方向を短く、材巾方向を長くするように配置。

・バネ材で直角曲げがある場合。材料ロール方向に対して平行にならないようにする。

・送りさん(キャリア)と最終カットが近くなる配置を選択。

・製品排出時 難なく排出可能な配置を選択。



問題 32.順送レイアウトにおいてパイロット配置の考慮すべき点をあげて下さい。
解答 32.
・曲げ等による変形の影響を受けない場所(位置)を選択する。

・材料歩留りが悪化しないよう注意する。

・製品に精度を要求される穴は、パイロットとして使用しない。



問題 33.順送レイアウト加工ステージ配置で考慮すべき点をあげてください。
解答 33.
・パイロット穴は先頭に配置し、基本的には最終ステージまで同じパイロットを使用する。

・変形要素(曲げ等)のある加工は、なるべく先頭近くに配置する。

・精度を要求される穴や外形は、なるべく後ろの方で同一ステージで加工する。

・ステージに余裕がある場合、曲げ部の穴や外形は抜き後アイドルステージを設けた方がよい。

・上曲げ等で、金型構造が複雑になることが想定される場合は、
 そのステージの前後に必要に応じアイドルステージを設ける。

・事前に設計変更が想定される場合は、必要に応じアイドルステージを設ける。

・最終カット切り離しステージの前は、平面度を修正可能なステージを1~2ステージ用意する。



問題 34.抜きのマッチングはなぜ必要なのでしょうか。
解答 34.
順送レイアウトにおいて、外形及び形状穴の一部は通常一度に加工せず数回に分けて加工される。
その際、分けて加工されるつなぎの部分はバリが発生し易い。
それを防止するためにマッチング(=つなぎ目)と称する凹みを設ける。



問題 35.図面の投影法について簡単に説明してください。
解答 35.
図面の書き方として、第一角法と第三角法がある。第三角法は右から見た側面は右に書くので
見易さから一般的に採用されている。



問題 36.ネジに関して下記①~③の説明をして下さい。
解答 36.
①ピッチとは= ネジの山と山の間隔 
②リードとは= 一回転して進む距離
③条数とは=  ネジ螺旋の本数



問題 37.ギアのモジュールとは何でしょうか。
解答 37.
モジュールは歯車の大きさを表すもので、ピッチ円直径を歯数で割った値。



問題 38.材料記号 SPCC-SD の意味は何でしょうか。
解答 38.
SPCC:冷間圧延鋼板 一般用

S:調質区分(標準調質)
  冷間圧延鋼板及び鋼帯の調質区分の一つで焼なまし後、
  機械的性質及び加工性などの用途に応じて適したものとするため軽度の冷間圧延を行って得られるもの。
  プレス加工に使われる材料はAとSが多い。

D:表面仕上げ(ダル仕上げ)
  つや消し仕上げ又は、梨地仕上げともいい、機械的・化学的 に表面をあらくしたロ-ルで仕上げたもの。



題 39.俗に、18-8ステンレスと言われるものは次のどれでしょうか。

①SUS304
②SUS430
解答 39.
SUS304です。
クロム18%、ニッケル8%を含むので、18-8ステンレスといわれます。
非磁性です。このためSUS430との見分け方は磁石に付くかどうかで
わかります。



問題 40.下記の円筒形の図で、寸法の記入はどちらがよいですか。



解答 40.
(b)がよいです。
部品を測定する場合や加工する場合(a)の図面では、直径を計算する必要が
あります。
図面を見る人の立場にたっているのは(b)の図面です。